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村上 密 Blog

『青い空 キリシタン類族伝 上下』

 『青い空』(文春文庫)の作者は海老沢泰久氏です。手元の文庫本は2009年1月10日に出版されました。昨年12月に買い求めて一気に読みました。この本でキリスト者として知っておかなければならない歴史(事実)を知ることができました。特に「キリシタン類族」という言葉は初耳でしたので、インターネットで調べて,歴史的資料も読みました。1687年6月に幕府は「一度キリシタンになったことがある者は転んだ者でも監視する方針に転換し、彼らとその係累をキリシタン類族として一般市民の戸籍である宗門人別帳から除き、キリシタン類族帳という別戸籍に入れることを命ずるキリシタン類族令を布告」しました。八条からなる悪法は1724年にはさらに改悪され、「その子孫を、直系の男子の場合は本人から五世代後、女子の場合でも三世代後まで監視すると定めた」とあります。幕府の許可がなければ葬儀も埋葬もできない「類族」への差別には胸が痛みました。この小説で禁教下のキリシタンの差別を身近に知り、信教の自由の大切さを教えられました。

 私たちは「信教の自由」と共に「裁判を受ける権利」も与えられています。「村上密blog」で取り上げました「宗教団体の倫理規程で団体職員の裁判提訴や信者に裁判を勧めることを禁ずる」は、この与えられた権利を奪う行為です。団体職員を萎縮させることが目的のであれば、団体は裁判を恐れていると疑われます。また、訴訟を解決の手段として放棄したことによって団体は将来に損害を受けます。さらに、規程は団体の人権意識の低さを世に晒し、団体の名誉を著しく低下させています。自浄作用により速やかな規程の撤廃を求めるものです。このような規程が他の宗教団体に波及していけば、宗教団体は世から非難を受けることになり、布教は妨げられます。
by maranatha | 2011-02-04 11:32
宗教問題

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