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村上 密 Blog

カルトと暴力

 カルトでは、暴力は悪ではない。暴力は、悪への制裁である。制裁は、悪ではなく、正義である。よって、暴力は、カルト内では善である。暴力が日常的に行われるのは、非宗教的なものを、信者から除くために、必要な手段としているからである。それは、カルトでは、訓練、修行、クレンジングとも言う。たとえば、ある人が重い病気を患っている。その原因は、悪霊と思っている。悪霊を追い出すことによって、病気は治る。何時間もかけて悪霊払いをする。癒されるまで、何日も何カ月も、場合によっては何年も。来る日も来る日も繰り返される悪霊払いの祈祷は、患者によっては、暴力である。死に至る暴力でも、悪化する症状でも、双方が治療行為と思い込んでいる時は、この暴力は外に漏れることはない。しかし、悪霊払いが達成されずに、団体から追放された時、患者は悲惨である。彼らは、精神的には極度に疲弊しており、内容を正しく伝える能力を奪われている。家族・友人によって、対応できる人に知らされて明るみに出る。そして、回復のためのカウンセリングが行われる。ここまで、相当な期間が経っている。悪霊払いを受けてひどい状態になった人を扱ったことのない人は、無責任なことを発言する。傍観者は、癒すことに関わることは無い。自分の安全を確保した場所から、無責任な発言を繰り返すばかりである。回復期にある人にとって、傷つけられるのは、このような口先だけの傍観者である。そして、この傍観者の暴力は、精神的なものなので、彼らは暴力という思いに至らない。

推薦図書
1、『攻撃と暴力 なぜ人は傷をつけるのか』(大渕憲一 丸善ライブラリー)
2、『暴力とゆるし』(ジャン・ヴァニエ 原田葉子訳 女子パウロ)
3、『暴力と宗教 闘争か和解か、人間の選択』(ホアン・マシア オリエント宗教研究所)
4、『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(ラス・カサス 染田秀藤訳 岩波文庫)

注 上記3の7章は4について触れている。参照のこと。
by maranatha | 2013-10-31 07:58
宗教問題

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