2017年 09月 21日
スタンダール『赤と黒』
スタンダールの『赤と黒』を読んだ。その本の中に、サルヴァニョリ伯が書評で時代背景を述べている。私はカルトやカルト化教会の問題を扱っているので、独裁体制に共通した内容を読んで、妙に納得したわけである。それを支える人々も同じようにふるまうことがあるのだと、これも妙に納得したわけである。以下はその書評の一部分である。「ナポレオンが独裁政治を守るためにこういうやりきれない猫っかぶりを作り出し、修道会が地方の風習のなかにこれを深くうえつけたわけです。この修道会は至るところに密告者とスパイの網をはりました。その幹部連中は、フランスの各小都市のそれぞれの家で読まれる新聞の名を知ろうとし、事実その望みを達したのです。また、かれはそれぞれの家へ毎日だれが訪ねてくるかを知ろうとし、事実それもつきとめました。しかも、こういうことはすべて、経費もなにもかけず、もっぱら思想穏健な連中がみずから買って出たスパイ行為のおかげでできたのです。」
引用:『赤と黒』(スタンダール/小林正 新潮文庫 平成29年6月5日87刷)
by maranatha
| 2017-09-21 21:25
| カルト化