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村上 密 Blog

情報コントロール

 最近、江藤淳の『閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』(文春文庫)を一気に読みました。この本は、アメリカが戦後の「言論の自由」をいかに統制し、支配していたかを暴露しています。CIE(民間情報教育局)によるプロパガンダ、CCD(民間検閲支隊)による検閲で、日本人の思想改造が行なわれたと書いています。アメリカは「言論の自由」を与えているように思わせて、実は裏で最後までCCDの活動を秘匿して検閲を行ってきました。ある程度は知っていましたが、改めて綿密な調査と資料に基づいて書かれた本を読むと驚かされます。CCDの30項目の検閲指導が、伝統的な価値体系を破壊し、新しい価値体系へ組替えることを可能にしたことも論証しています。ドイツ占領軍当局による情報管理体系の4本柱(認可、監視、主題の限定、ニュース・ソースの管理)についても触れています。

 私はこの本を読みながら、キリスト教のカルト化問題を考えていました。それは一部の教会がカルト化して、信者を情報コントロールしているからです。どうしてこんなに簡単に騙されるのか。どうしてあんな人に支配されたのか。本を読んで、情報コントロールの条件さえ整えれば可能であることが分りました。カルト化した教会では、何事も牧師の許可が必要です。信徒が牧師の指導に従っているかどうかは相互監視下にあります。主題が限定された説教が繰り返し行なわれています。牧師の許可した本だけが読むことのできる本です。これはカルト化した教会の共通項です。

 カルト化した教会では、キリストを信じたときの喜びも束の間、信徒は教会活動に多くの時間を割くことになります。さらに牧師や献身者から様々な虐待を受けていきますが、このような被害者がやがて虐待する側に変わっていきます。法律に抵触する行為もときには強制され、「共犯関係」に引き込まれます。それは信者を抜けがたい心理状態にします。また、信者は独裁的牧師に対する恐怖感と悪霊に対する恐怖感で教会に縛り付けられます。

 以前、『転向』(思想の科学研究会編)を「村上密blog」で紹介したとき、physicomathさんがご自分のblogで取り上げてくれました。『閉ざされた言語空間』は『転向』をさらに大掛かりにしたものです。是非読者に読んで頂きたいと思います。
by maranatha | 2010-12-21 07:26
宗教問題

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