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村上 密 Blog

カルトの心理 1

 カルトは戦争状態の心理に信徒を導きます。信徒は神の陣営で,敵対する人は悪魔の陣営に属します。信徒は悪魔の陣営に勝つために手段を選びません。卑怯な悪魔に正当な方法で戦う必要がないからです。世の中の法は,体制維持にための抑圧手段であり,カルトの活動にとって障害です。警察や自衛隊は体制側の暴力装置です。カルトに反対する組織は全て敵であり,悪魔の陣営です。過激なカルトは法を守りません。カルトの指導者が法です。勝利へのプロセスに必要な加害行為は全て正当化されます。カルトの指導者から出る命令に違法行為はありません。

 このようなカルト心理はどのような社会で育つのでしょうか。体制の秩序が乱れ,天変地異が連続する時です。国家の名のもとに無法きわまる犯罪行為と隠ぺい行為がまかり通るとき,自分たちも手段を選ばなくてよいという心理が育ちます。信頼されていた体制の内部が暴露されるとき,民衆は怒りの捌け口を求め,破壊行為に走ろうとします。カルトは体制に失望した人の集まりです。カルトの集会で理性の糸を切られたら,行動に駆り立てられます。カルトの指導者は人間ではありません。神の化身か,全権を神から委ねられた代理人です。だからこそ献身(帰依)の対象となります。彼は乱れた世を終焉させる器です。破壊と創造の神です。

 近年の流動的な世界情勢と自然災害はカルトの心理を育てる環境を提供しています。日本ではカルトの活発な活動は伝えられていません。しかし,既成の宗教の中にカルト化傾向が顕著です。集団ヒステリー現象も見られます。これは危険な兆候で、カリスマ的なカルト指導者が登場してもおかしくない状況です。
by maranatha | 2011-06-15 07:28
宗教問題