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村上 密 Blog

天皇改宗

カルト
 ウィリアム・P・ウッダードは『天皇と神道 GHQの宗教政策』を1972年に英語で出版しまました。日本語訳は1988年にサイマル出版から阿部美哉訳で出ています。彼はGHQの宗教研究班の責任者でした。国家神道の解体に取り組んだ人でもあります。占領終了後は、国際宗教研究所の所長として、日本に滞在し、宗教界に影響を与えつづけた人です。1972年を記したのは、本の中に「国体のカルト」という表現があるからです。この当時、日本の戦時下の体制をこのように思っている人がいることに興味を持ちました。「カルト」という用語は1995年のオウム真理教事件後、社会問題を起こす新宗教に用いられて一般化しました。1980年代に「カルト」を使用する人は一部の専門家でした。ですから、1988年の訳本に「カルト」があるのは随分古いことになります。

天皇改宗
 この本の中に、大変興味深い記事があります。「マッカーサー将軍は、占領の初期においては、もし彼がそうしようと思えば、天皇もすべての日本人も、キリスト教の改宗させることができるのだという奇妙といってもよい態度をとっていた。ある宣教団体の幹部が伝えているところでは、将軍は、『自分がもっている権力を行使しさえすれば、天皇と七千万人の日本人を一夜にしてキリスト教徒にしてしまうこともできるだろうが、それは悲劇的なことだと承知している』と述べ、さらに『そうしないのは、それが"日本におけるキリスト教の終末"にほかならなくなるからだ』と説明したとのことである。その後ある時、将軍がビリー・グレアム師に対して、『天皇が内密にキリスト教を日本の国教にする用意があるといったことがあるけれども、自分は、いかなる宗教でも、それを国民に強要することは間違っていると考えているので、その申し出を退けた』と語ったことがあると伝えられている。」これは衝撃的です。

推薦図書
 この本は『英国機密ファイルの昭和天皇』(徳本栄一郎 新潮文庫)と合わせて読むと、戦前戦後の宗教事情が見えてきます。なお、『天皇と神道 GHQの宗教政策』の中に出てくる、ビリー・グレアム師はビリー・グラハム師ではないかと思います。さらに、「国体のカルト」がどのような意味で用いられているかというと「連合軍の指導者たちは、右翼の過激派が国民を洗脳し、天皇を制御する権力を獲得し、法律を支配し、教育を統制し、宗教を管理し、日本国を全面的崩壊の淵に追いやったのは、現津神たる天皇、神道、神の地などの概念を中心に作られた国家神道のカルトによったと考えたのである。」と著者は記しています。古い本ですが、この手の本は貴重で少ないので、購入を勧めます。
by maranatha | 2011-08-14 18:38
宗教問題

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