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村上 密 Blog

方丈記と浄土宗

方丈記
 異端審問を調べていくうちに、堀田善衛の『ゴヤ』から大変教えられるところがありました。
堀田は宮崎駿が最も尊敬する人物だそうです。『ゴヤ』を通して堀田にも興味が湧き、『方丈記私記』を購入しました。堀田は鴨長明の『方丈記』を引用しながら、自らの戦争体験を『方丈記私記』に書いています。長明は『方丈記』に自らが体験した大火・辻風・遷都・飢饉・大震災を描いています。『方丈記』が書かれてから、来年は800年です。9月2日の京都新聞の朝刊では「方丈記800年委員会」が発足したと報じています。これは東日本大震災と無縁ではないでしょう。『方丈記』の5つの災厄にも増して、今年は大地震・大津波・原発大惨事・超円高・電力不足・不景気・政治不信と戦後最大の危機を迎えています。私たちは歴史的大災害を乗り越えた人々の子孫です。無常観を克服する道はあるでしょうか。

浄土宗
 今年は法然の800遠忌でした。長明が方丈記を書いている頃、法然はなくなったことになります。相次ぐ災厄に民衆が何に救いを求めたか、それはこの世ではなく浄土でした。それはこの世を克服する思想です。今の困難は未来に希望があるから耐えられます。それは『夜と霧』からも教えられます。マスコミの「ガンバレ」の掛け声ではなく、希望を与える教え、それは政治にはできません。宗教にこそできる分野です。あらゆる宗教が復興支援に取り組んでいます。しかし、法然のような人物はまだ出てきていません。疎外された人々と共に歩むのは、快適な生活を一時的に離れることではなく、生涯放棄することです。だれが快適な生活を放棄して、悲しむ者と共に、泣く者と共に歩いているでしょうか。疎外された人は人を見る力を持っています。手を伸ばす人が疎外している勢力と関わりを切っているかどうかを見ています。

私記
 私は、日々カルト被害者やカルト化教会の被害者の相談に応じ、東奔西走しています。東日本大震災の復興支援に直接的に参加できないことを最初は残念に思っていましたが、やがて私のできることに専念することでいいと思うようになりました。カルトの社会問題に取り組む人が少ないからです。身体的虐待・性的虐待・精神的虐待・経済的虐待・宗教的共同体からの疎外等の多重被害に合っている人々の叫びに耳を傾け、助力することこそ、私の使命だからです。この働きには、快適な精神生活を疎外することがたくさんあります。しかし、この働きによって回復していく人々を見ることは私の喜びです。
 聖書にこのように書いてあります。「キリストによって、いま私たちの立っているこの恵みに信仰によって導き入れられた私たちは、神の栄光を望んで大いに喜んでいます。そればかりでなく、患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです。」(ローマ5:2~5)ここには、患難が患難に終らないで、希望にいたる道が記されています。私はカルトから救われました。だからできることがあります。カルトに捕らわれている人、脱出した人に希望を語り続けることです。
by maranatha | 2011-09-02 15:07
宗教問題

by maranatha