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村上 密 Blog

政治と宗教と思想

日本において
 徳川家康は、戦国時代の下剋上を経て天下統一された国の秩序を維持するために、儒教を利用しました。更に、キリシタンの弾圧のため、仏教を利用しました。倒幕を果たした薩長主導の明治政府は、ナショナル・アイデンティティーとして、神道を利用し、天皇を頂点とする新しい国家体制を建設しました。第二次世界大戦後は、アメリカ主導型の民主主義を導入しました。これが統治する側から利用された宗教と思想です。

ドイツにおいて
 1871年にドイツが統一を果たした時、ナショナル・アイデンティティーのため、ルター派の政治神学が利用されました。1990年の再ドイツ統一に用いられたのは、東ドイツの共産主義ではなく、西ドイツが採用していた民主主義が用いられました。ドイツにおける統一された統治者側から利用された宗教と思想は、ルター派神学、その後は民主主義です。

アメリカにおいて
 アメリカは何を持って、ナショナル・アイデンティティーを形成してきたのでしょう。よく聞く言葉は、自由です。第二次世界大戦を勝利に導いた国として、冷戦時代の民主主義による国家群の盟主として、君臨してきました。冷戦体制が終焉してからは、アメリカはしばらくスーパーパワーを維持しました。アメリカとの関係が深い国において、バプテスト派が急進していきましたが、レーガン大統領時代から、キリスト右派が台頭し、宗教が政治に深く関わる時代が続きます。ペンテコステ派が世界中に広まる時代と重なります。私はペンテコステ派に属しますが、政治利用されていると思います。アメリカの統治する側から採用された宗教と思想は、これは私見ですが、民主主義、バプテスト派、ペンテコステ派です。なぜ、バプテスト派なのか、長くこの派に属したビリー・グラハムが歴代大統領就任式の祈祷を担当してきたからです。アメリカの祭司長です。彼に代わってリック・ウォーレンがオバマ大統領の時は祈祷をしました。彼もバプテスト派に属します。

日本におけるキリスト教
 国内におけるキリスト宗教の教勢の伸張は、国家間の友好度を表します。最も信徒数を有するカトリックは第二次世界大戦中、天皇制維持のため、連合国側との仲介役を日本側から依頼され、戦後に影響力を得ることになりました。聖公会は倒幕に協力した英国の国教会です。日本の要所に教会を建設し、教勢の伸張を見ました。戦後は国内でバプテスト派が成長しました。アメリカによる沖縄統治下でバプテストの急成長はその好例です。プロテスタントで信徒数の最も多いのは日本基督教団です。戦前、政府の強い要請により33教派が合同し、国家体制に協力しました。以上が日本における教勢が上位の4団体の背景です。第二次世界大戦中、キリスト教の宣教師はスパイ扱いされ、国外退去をさせられました。クリスチャンの中には敵国の宗教を信じているとして弾圧を受けた人もいます。キリスト教が統治する側からどのようにみられていたかが分かります。
 キリスト教は、戦後成長しましたが、1パーセント超えたことはありません。戦後の宗教政策で成長したのは、創価学会、立正佼成会、霊友会、生長の家等です。創価学会の池田大作氏の出身は流布されている通りでしょうか。立正佼成会は、バチカンとの関係が深い団体です。霊友会や生長の家は自民党と深い関係です。戦後は政党との関係の深い宗教団体が伸張しています。宗教による政治利用とも、政治による選挙のための宗教利用とも取れます。戦後のキリスト教は、政治と距離を置いてきました。権力と結びついた宗教は、力を手にしますが、堕落します。最近キリスト教が混乱しています。あらゆる教派にカルト化傾向の教会や牧師が出てきました。特にムーブメントの影響を受けた牧師や教会に見られます。牧師が権威を強調し、支配を強め、服従を強制する教会には気を付けましょう。また、外国の政府や公的機関との友好関係を宣伝に利用するところは、逆に利用されているかもしれません。宗教が政治に利用されることや信仰が政治に利用されることは、信仰と良心のために避けなければなりません。
by maranatha | 2012-06-18 20:28
宗教問題

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