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村上 密 Blog

パウロの信仰観

 パウロ一行は、伝道旅行に出かけた。彼らは、ローマ帝国の主要道路上にある、ユダヤ人会堂のある都市から都市へ移動しながら伝道している。その途上「彼らは、アジアでみことばを語ることを聖霊によって禁じられたので、フルギヤ・ガラテヤの地方を通った」(使徒16:6)パウロは重い病に罹り、ガラテヤに留まる。その結果、ガラテヤの教会が誕生した。信徒たちは、パウロの病を気づかい、「自分の目をえぐり出して私(パウロ)に与えたいと思った」(ガラテヤ4:15)ほどであった。パウロの病は眼病であろう。やや回復したので伝道旅行は再開された。「ムシヤに面した所にきたとき、ビテニヤのほうに行こうとしたが、イエスの御霊がそれをお許しにならなかった」(使徒16:7)何故だろうと思いながら、パウロたちは「ムシヤを通って。トロアスに下った」(16:8)ある夜、彼は「マケドニヤに渡って来て、私たちを助けてください」との幻を見る。彼らは話し合い、確信をもってマケドニヤへ出発した。このトロアスでパウロ一行にルカが加わった。「彼ら」から「私たち」に表現が変わっている。「使徒の働き」はルカが書いたものである。医者ルカがパウロ一行に加わったのは、パウロの病が関係していると思われる。その後、ルカはローマの獄中までも共に過した。ルカは最もパウロに付き添った人である。
 この一連の出来事を通して、今日の流行の「霊の戦い」という信仰観が正しいかどうか考えていただきたい。宣教が妨げられれば悪魔や悪霊の所為にし、重い病に罹れば、悪魔か不信仰の所為にする。神が全てを支配しておられるという神の主権を見落としているのではないか。パウロの病が、ルカの同行につながる。ルカはいろいろな人と出会う。パウロから学び、手紙や資料を読む。これらが、やがて「ルカの福音書」「使徒の働き」を書くことになろうとは、だれが考えただろうか。パウロが重い病でガラテヤに留まり、教会が誕生する。そのことが、やがて「ガラテヤ人への手紙」に結びついていく。私たちが読んでいる貴重なパウロやルカの書は、彼らにとって避けたいことや不都合な出来事が原因である。パウロの信仰観は「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださる」(ローマ8:28)によく表れている。そして、この信仰観は「私たちは知っています。」(ローマ8:28)と彼が書いているように、その当時、キリスト者が共有していた信仰観であった。私たちはこの信仰観を共有しているだろうか。それは神の主権に基づく信仰観である。「霊の戦い」は神の主権を著しく貶める信仰観である。それは、神と悪魔の戦いであり、二元論である。
by maranatha | 2013-11-13 11:12 | パウロ
宗教問題