2014年 02月 06日
長谷川三千子氏の問題
2014年2月6日の朝日新聞に、長谷川三千子氏の追悼文が掲載されている。
長谷川三千子氏の専門は、比較思想、日本文化論である。現在、NHKの経営委員で埼玉大学の名誉教授である。見過ごすことのできない発言を、キリスト者の立場から、指摘したい。
1、「野村秋介は神にその死をささげたのである。」拳銃自殺を図り、銃刀法違反と火薬類取締法違反を犯した野村氏の問題を咎めず、生をささげるのではなく、死をささげた、としてその死を称賛している。
2、「『すめらみこと いやさか』と彼が三回唱えた時、彼がそこに呼び出したのは日本の神々の遠い子孫であられると当時に、自らも現御神(あきつみかみ)であられる天皇陛下であつた。」長谷川氏は天皇陛下を神々の子孫で現御神としている。そして、野村氏は三唱でその現御神を呼び出した、と書いている。長谷川氏の皇国史観と天皇論が問題である。
3、「そしてそのとき、たとへその瞬間のことであれ、わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうとも)ふたたび現御神となられた」ここでは、野村氏の三唱によって、今上陛下は現御神になられた、としている。ここで問題なのは、野村氏が今上陛下を現御神にしたのか、今上陛下が現御神になったのかである。今上陛下が自分の意志で現御神になるとは聞いたことがない。これは長谷川氏による新たなる天皇神格化である。
4、長谷川氏は「すめらみこと いやさか」と三回唱えた、このことに呪術的な力を持たせている。はたして、野村氏はそのような力を持った人物であったのか。これは長谷川氏の野村氏の死への詩的賛美にすぎない。
by maranatha
| 2014-02-06 22:08
| 宗教と政治