2016年 05月 07日
特集 償い 3
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2005年4月6日、金保の逮捕で聖神中央教会事件は世の多くの人々の知るところとなった。私の名前は、「被害者の会」代表村上密で知られるようになった。私はもともと、異端やカルトから被害者を救出し、カウンセリングをすることを専門としている。まさか「教会」を扱うようになろうとは思いもよらないことであった。ただし、この教会は「カルト化した教会」でベレアという異端の教えも導入されていた。私は被害者とおおぜいの脱会者のカウンセリングを手掛けつつ、新聞社と行政の協力を取り付けた。少しく回復しはじめた被害者に、警察に被害届けを出すようにすすめた。女性の弁護士も決めた。刑事、民事両方の訴訟の支援にも取り組んだ。
連日の事件報道によって、他のカルト化した教会からの被害者の相談が飛び込むようになった。私は異端やカルトを扱う方法をカルト化した教会に対しても適応するようにした。宗教界には司法とは違う独自の解決方法というものがある。それは、しばしば被害者に都合の悪い結果となる。組織防衛というものが働くからである。「謝っているのだから、赦してあげなさい」といわれ、損害を償うということが行われないことがある。なかなか赦すことができないでいると、指導者から被害者がしかられるということもある。これでは被害者が救われない。宗教界の中で犯罪が起きているのであれば、司法の場で取り組むことの方が、被害者の損害の回復は早い。それに、カウンセリングで心の回復に取り組む、これが今の私の立場である。
私たちの教会は「宗教トラブル相談センター」を教会総会で決議し、設置した。効果はすぐに現れた。被害相談や、問題解決のための依頼が以前よりも増加した。キリスト教界には「牧会不介入」という不文律の紳士協定がある。教会が相互の自主的運営を重んじて、他の教会の牧会に口を入れないというものである。しかし、「カルト化した教会」の中で行われているのは犯罪である。そこでは、暴力、経済的詐欺、人格破壊が起きており、キリスト者として見過ごすことはできない。私は長く社会問題に取り組んできた経験から、裁判に訴えるという方法が被害者の救済と犯罪の抑止効果になると判断し、被害者の裁判を支援している。
by maranatha
| 2016-05-07 14:00
| 償い