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村上 密 Blog

社会的処方

173.知っておきたい”社会的処方”という解決法 
(https://cocoyaku.jp/feature/37/4433より一部抜粋)
日本女性薬局経営者の会設立記念シンポジウムで産経新聞社の編集委員・佐藤好美さんが紹介した英国の医師・澤憲明さんの考え方で、端的に言ってしまえば薬を処方するのではなく、社会的な助けを“処方”する方法だ。事例として、「80歳代の女性患者は首が痛い、腰が痛いなど訪問診療の依頼をしてきた。実際に訪問すると、友達がおらず家族は遠方に住んでいるなど、止めどなく話し続け、『さみしい』と訴えてきた」という。澤医師はしばらく話しを聞き「趣味が散歩や読書だと聞いて、地域の散歩クラブや読書クラブを紹介すると、しばらくすると友達ができて訪問回数が大きく減少した」と分析し、「彼女に必要だったのは薬ではなく、社会的な繋がりだった」と結論付ける。

カルトに子どもが入信してしまった。親戚や友人には話しづらい。子どもを助け出す情報と手段がない。このようなことで悩む親は多い。心配が高じて鬱になる親もいる。以前、同じ境遇にいる親たちが情報交換し、助け合うように会を作って、精神的に孤立しないように対策を取ったことがある。今は、カルト化した教会から脱会した人たちが、精神的に孤立しないように会を作ることを勧めている。このような会で、どれだけの人々が慰められ、情報と力を得て、助けられたことだろう。カルトは入信した人を家族から断絶させる。そこで必要なのが、共通項の多い人々の関係の構築である。

夫を亡くした夫人をカウンセリングしたことがある。しばしば、喪失と悲嘆により、鬱や鬱傾向にある。しばらくカウンセリングを続けてから、最初の話を一週間或いは一月間の中で何か楽しかったこと、うれしかったことを話してくださいと話しかけた。それを繰り返すうちに、明るさが戻ってきた。すると、同じような婦人たちが誘われてくるようになり、グループカウンセリングみたいになった。同じことを続けていると、笑い声が出るようになった。ある時、なぜ、同じようなことを繰り返しているか考えたことがありますかと尋ねた。答えは帰ってこなかった。そこで、私は、皆さんの話は悲しい、苦しい、寂しいがまず初めに出てきます。そうすると会話のパターンが決まってしまい、身近な人からまた始まったと、距離を取られます。それが疎外です。話しのパターンをつらい中にあっても楽しいことから始める試みは、楽しく、笑いありで、参加者は精神的に回復していった。これも社会的処方と言える。社会的処方は薬がいらない。処方薬は温かな人間関係である。
by maranatha | 2016-07-12 20:12
宗教問題