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村上 密 Blog

祖母

祖母は父が10代の時に5人の子を残して世を去った。
これは父から聞いた祖母の臨終である。

市内から馬車に乗って、家に近づいた時たい。
おとつぁんが、学!て呼んだけん、
おっかさんが心配で、
馬車から飛び降りて、枕元に駆け付けたたい。
おっかさ~ん!て呼びかけた時、
おっかさんな死なはった。

祖母を思い出すとき、見てはいないのに光景が浮かぶ。
父は66歳で天に召された。
祖母の元気な姿を聞いたことはなかった。
昨年、帰省した時、母に聞いてみた。

畑が傍にあったけん、見かけたたい。
雨がポツポツ降りかけてた時たい、
おっかさんな、走って行かれたたい。
なんか、干しておらしたとだろ。

涙が零れた。
祖母の元気な姿を初めて聞いた。

千葉の叔父が天に召された時、
告別式の司式をした。
叔父の知人、叔母の親戚が、一様に、
私の顔を見て、ぎょっとしていた。
亡くなっている人が生きている。
鼻の右にあるほくろまで一緒である。
父方の叔母たちも同じところにほくろがある。
叔父の長女にも同じところにほくろがあった。
ほくろを持っている私たちは祖母に面立ちがよく似ている。

私は父似でも母似でもない。
小さい頃、からかわれた。
モーセのような話である。

ひそか~は、白川ん上から、
籠に入って、どんぶらこと流れて来ったとたい。
だけん、とうちゃんとかあちゃんとにゃ似とらんとたい。

千葉の叔父から唯一の祖母の生前の写真を見せてもらった。
どんなに安心したことか。
顔立ちは、祖母、それから叔父叔母たち、それから私と妹、
それから、娘、そして孫娘に受け継がれている。



by maranatha | 2017-06-02 11:43 | 故郷
宗教問題

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