2018年 05月 11日
虎とうさぎ
これは穴から出られなくなったうさぎの物語である。
うさぎがそばを通りかかった。
虎からさんざん恐怖を味わってきたので、
寝ている虎を突いてからかってみた。
突いても起きないのでひげを引っ張った。
ひげを引っ張っても起きないので、
虎の顔に落書きをした。
おかしな顔になった。
うさぎは笑って地面に落書きした。
お前なんか怖くないぞ。
捕まえられるなら捕まえてみろ。
虎が起きた。
うさぎは脱兎のごとく穴に逃げた。
自分のしでかしたことに恐怖を覚え、
穴から出られなくなった。
穴に閉じこもり、衰弱していった。
それでも、口だけはたっしゃで、
お前なんかこわくないぞとつぶやいた。
虎は池に水を飲みに行った。
変な顔の虎がいた。
近づいたら、池に落ちた。
バタバタしているうちに落書きが消えた。
もう一度、おかしな顔を見ようとした。
けれども、そこには見慣れた自分がいた。
虎は普通の生活を続けた。
by maranatha
| 2018-05-11 16:34
| 心理