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村上 密 Blog

思い出 3

おかよさんは年を取った。彼女の家での役割は子守りと掃除と風呂焚きである。母がもう大変だから山にたきぎを取りに行かなくともいいよと声をかけるが、おかよさんはそれでも山に薪を拾いに出かけた。私は幼児のころからときどきおかよさんの後を追って薪拾いに山に入った。拾った枯れ枝を集めて、それを縄で縛り、背負って家路につく。来る日も来る日もそれを繰り返しておかよさんは年を取った。私は高校生の時、市内に下宿した。その頃、おかよさんは老人性痴呆が始まり、私が誰だか分からなくなった。それでも話の中に私の名前がよく出てくるので、私は愛されて育てられたのを深く感じた。「ひそこ、ひそこ」私の名は密、ひそかと読む。おかよさんだけが呼ぶ私の名、それがひそこである。
by maranatha | 2018-06-12 12:19 | 故郷
宗教問題