2019年 05月 29日
忘れられない犬
少年期、隣家にマリーと言う犬がいた。雑種だが、茶色いダックスフンドのような体つきをしていた。雌犬で良く子供を産んだ。私は何度も小犬を見に行った。このマリーには特技があった。それは火のついたタバコを消すことだ。主人の言うことをよく聞き分けて従った。この頃は、このマリーほど賢い犬はいないと思っていた。と言うのは、斜向かいにも雑種の雌犬がいて、かわいかった小犬がやがて大型犬になった。この犬とは全くい相性が合わない。いつも吠え掛かってくる。主人からよくしかられていた。私の家にも雑種の雄犬がいた。マリーの賢さには負けるが忠犬だった。大きな声で呼ぶと、どんな遠くからでも走って来て、尾っぽを振った。雌猫もいたが、彼女は呼んでも来ない。ご飯の時だけ、泣いて寄ってくる。いつも外出している。時々、私の機嫌を取るためか、自分が如何に狩りがうまいかを誇示するためか、はたまた私が空腹と思っているためか、トカゲやネズミを捕まえて、私の前に置くことがあった。母がよく聞かせてくれた話がある。赤犬と白い犬がいて、子供の頃私が散歩させていた。この犬たちに引きづられても手を離さなかった、と言う話だ。おかげで、腕や膝小僧はすり傷が絶えなかった。このことは私の記憶にはない。母親から聞かされた話だが光景が瞼によく浮かぶ。作られた記憶である。身近な犬や猫も私の成長の役に立ってくれている。
by maranatha
| 2019-05-29 22:54
| 故郷