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村上 密 Blog

母が90を迎える。妻が誕生日カードに何か、書いてください、と手渡してきた。長生きしてください、とだけ書いた。妻がほかに何か書くことはないのですか、と尋ねたので、ない、と答えた。90歳、十分に長生きである。それでも、長く生きしてほしいと息子は思う。私も兄も妹も同じ気持ちで過ごしている。父が66歳で召された時、兄が、私が、妹が、おっかさん、おとっつあんの分まで長生きしてはいよ、と願った。願いが叶って90。父の火葬のとき、妹が母に、おっかさんがなくなったときゃ火葬にゃせん。塩漬けにするたい。母は妹に、そぎゃん、愛せんでよか。私が妹に、塩漬けより油漬けが長持ちすっと。私たち家族は悲しみも苦しみも深刻に話さない。父が召される前、おら、むらでいちばんしあわせもんたい、と何度も言っていた。だから、残った者たちは、おとっさんないちばんよかときなくなったたい、と言って慰め合った。あれから34年。母はやせて小さくなった。料理も作らなくなったが、私が帰れば、ぜんざいを今でも作る。おもさん、たべなっせ。おっかさん、もうそぎゃんたべれんようになった。そぎゃ~いわんにゃ、もっとたべなっせ。こんな会話をたびたび繰り返している。ありがたい。ありがたい。
by maranatha | 2019-11-22 17:47 | 故郷
宗教問題