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村上 密 Blog

村を巡る

母と近所の叔母夫婦を訪ねた。仲の良い姉妹で話し相手だ。私は1時間ほどお茶を飲みながら話に耳を傾けていたが、抜け出して、村(町なのにここで生まれた人は今でも村と言う)の中を巡ることにした。ずいぶんと新しい住人が住むようになった。それでも古屋や古木が昔を思いださせてくれる。山から流れる水はすべて暗渠になった。それでもサワガニを捕ったことを思い出す。古屋に絡まるツタも、目をつぶると昔の家が瞼に映る。舗装された道路の割れ目からたくましく育ったケイトウの花を見つけた。秋になるとこの花はどの家の庭先にでも咲き誇っていた。そう思って昔からの家の庭先を見ると、トケイソウの花が咲いていた。これを見ると闘鶏の鶏冠を思い出す。そして、闘鶏を飼っていた近所の同級生の庭を思い出した。竹で編んだ籠の中にたくましい闘鶏がエサを啄んでいた。水の湧くところに大きな椋の古木がある。幹回りは大人二人がかりぐらいだろうか。ムクドリが実を啄みによくやってきた。この大木は子どもの頃は登りにくかった。これに登っては得意げになった。この木に登って遊んでいる自分の姿が瞼に浮かんだ。昔からの家を見ながら散歩を続けた。ニッケイ(シナモン)の枯れた大きな切り株がある。この木の根っこを幼いころ掘り出して、よく根を歯でこさいでしゃぶった。思い出したら、鼻腔に香りを感じた。父の生家を見ながら墓に向かって歩き続けた。大雨の後、水溜りになる場所がある。亡き父が、ここで子どもの頃水遊びした、と言っていた。はしゃいでいる姿が瞼に浮かんだ。喫茶店に着いた。石庭の垣根の向こうに村上家の墓が覗いている。パソコンでこの記事を書き終えたら、墓に立ち寄る。ここには父の墓があるが、父はここには眠っていない。ここは先祖の墓で、五代前の谷嵐(村上)直三郎の大きな墓石がある。相撲の親方で行司もしていた。墓石にはたくさんの門弟の力士の名が刻んである。江戸時代には刀を差し、馬に乗って吉田司家に出入りしていたと話が伝わっている。士分扱いだ。父は生前にもう一つ自分で作った墓に眠っている。この後、そこにも足を延ばすことにする。
by maranatha | 2020-10-21 13:06 | 故郷
宗教問題

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