人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

村上 密 Blog

好物

中高生時代は、とりのから揚げを好きな人が多い。私はタマネギの天ぷらが好物だった。学校から帰って、母が夕食の支度をしているわきから、揚げたてのタマネギの天ぷらをつまんで食べた。腹がすいているので何個も食べる。すると、母が、あんたの分はなくなるよ、とやさしくたしなめる。熊本の食卓はおかずを大皿に盛りつける。家では好きなものを腹いっぱい食べなっせ、と勧められる。一人前はタマネギのてんぷらを食べている。さらに、ごはん時にももう一人前を食べる。おそらく、母が控えめに食べていたのだろう。この歳になると、昔のことが何でも、あるがたか(ありがたい)になってくる。

ついでに、ナスの天ぷらも好物である。最初の派遣教会は高槻だった。小さな庭に、茄子を植えた。母が、「親の意見となすびの花は、ひとつのあだもない」と言っていたことを思い出したからである。本当によく実った。茄子が乏しい食卓を補ってくれた。母がよく語った言葉に、本当に必要なものは買わなくても与えられる、があった。父の財布にはたっぷりお札が詰まっていた。父は、我が家の大蔵省で、金銭の管理をしていた。母は必要な時に、父から必要な額を受取っていた。そんな中で、母が自分の教訓としていた言葉が、本当に必要なものは買わなくても与えられる、であった。私はそのことをよく聞き、よく見た。必要は神が満たしてくださるを、私は信仰をもつ前に学んでいた。父は厳しく、教育熱心だった。馬鹿もん、の一喝にすくみあがたものである。その父が66歳で信仰を持って召された。この4月がくると、私は66歳になる。今までずっと66歳を意識して過ごしてきた。4月15日が来たら父の命日だ。父の墓に足を運び、阿蘇の山々、九州山地の山々を見上げ、祈りの時を持つことにしている。私はこの父と母の子。黒々とした真土の上を走り回り、白亜紀の山水を飲んで育った。

by maranatha | 2021-02-05 20:59 | 故郷
宗教問題