2021年 05月 25日
時を経て
近所の高いビルの解体工事が終わった。解体工事期間、周囲の住民は騒音に悩まされた。今は、広々とした空間、光と風、静けさがある。最近、毎日、ヤモリが鳴いている。どこへ行ってもヤモリの鳴き声を聞く。こんなに聞くことはかつてなかった。近くのネズミの穴にいつの間にか大きなカニが住むようになった。近所の人がその穴を見つけて、小枝を突っ込んだり、ニンニクを入れたりしたが、カニは全部を排除して、出入りを可能にしている。近所のご婦人が、穴を眺めている私に声をかけて来た。大きなカニの穴ですよ。ここにも穴とカニを見つけている人がいた。穴のあるところの草取りをしている60代の男性がいた。カニの穴を知っておられると思って声をかけた。カニの穴がふさがっていましたが、元に戻ていますね。えぇ、カニの穴があるんですか。あそこですよ。ああ、ほんとだ。私の小さい頃は海からカニが上がってきて、そこら中に穴がありましたよ。どうも、近代化した町の中でも子孫が生き残っているようだ。兄とビルのことで話したことがあった。何と何十年か前にそこの一室を所有していたことが分かった。時を経て、兄弟で同じ町内に住居を構えていたことになる。番地も一緒、2件隣である。カニが代を重ねて住んでいるように、人間も血がつながっていると同じ場所に住むのかとおかしく思えた。
by maranatha
| 2021-05-25 10:21
| 自然