2022年 05月 03日
手当て
小学生、中学生の頃、「コロ」という名のイヌを飼っていた。色は黄色系で雑種の中型犬である。よく山歩きを一緒にした。当時、イヌをつないで飼うような時代ではなかった。村のイヌのほとんどは放し飼いであった。家に帰ってコロがいないと、大きな声で「コロー」と叫ぶと、矢のように飛んで帰ってきた。喜んで「ワン、ワン」とほえ、しっぽを力いっぱい振ってくれた。ドッグフードを与えたことはなく、エサは食事の残り物である。それでも喜んで食べた。水をあげた記憶はないので、家のそばを流れる山水かどこかのたまり水を飲んでいたのだろう。いろいろな動物を飼ったが、一番の思い出はコロである。
コロがやけどをしたときのことを思い出す。冬の寒い日だった。五右衛門風呂のかまどの中で休んでいたとき、祖母がかまどにまきをくべて火をつけた。コロは驚いてかまどから飛び出してきた。祖母は腰を抜かすほど驚いた。コロは毎日毎日やけどした左足をなめて治した。薬をつけてあげはしなかった。自分の唾で殺菌、鎮静、保湿を繰り返していた。私も大抵の傷は唾で済ませていた。古くぎを踏んだときは、傷口を唾を付け、傷口をかなづちでたたいてふさいだ。切り傷などは近くの石垣に生えているチドメグサをつぶして塗った。富山の薬箱があるが、まあ大体は自分で治した。
どの小説だったか忘れたが、柳生の道場で稽古が終わったあと、井戸からくみ上げた水をおけに移し、それに塩を入れて切り傷を洗った、と書いてあった。私も読んでからまねてミネラルが入っている塩を水に入れて傷口を洗った。ここ数年、水道水をあまり飲まない。天然水を飲んでいる。山から取ってきた土を小さな鉢に入れ、水を注いでその水をコップに採って数カ月放置していた。水が腐らない。土壌菌に気づかされて、それを自然水で増やして、その水を保湿のために使っている。かかとの皮膚はかたくならない。皮膚のかさつきも和らいだ。除菌より菌との共生を図っている。医療を否定するわけではないが、近年はかかったのは歯科病院ぐらいである。抜歯したところは痛み止めは飲まないで、手であごをかるくさすって痛みを止めた。右足のモートン病も手で治した。按手というのがあるが、あの按はそっと置く、軽くなでることを意味する漢字である。私は手をそっと置き、軽くなでたり、少し手を離して、ゆっくり動かしながら治した。その時は深呼吸をする。鼻で呼気を吸気ゆっくり深く繰り返す。深呼吸の大切さに気付かされてから、鼻で呼気吸気をゆっくり繰り返す、時には、鼻で吸気、口で呼気をゆっくり深く繰り返す。肺の空気を入れ替えて、血流をよくしている。そうすると体の神経の電気の流れが改善される。体液も改善される。手のひらがピンク色のなれば、その手のから温かい気が発散する。母が腰が痛いと言ったので、手を痛む腰に軽く置いたら、「あんたの手はたぎっとるね」と言った。作業をして体をそのまま冷やせば翌日は確実に痛む。腕の外側は上から下にゆっくりさすり、内側は下から上にゆっくりさすり、足も腰も同じようにすると翌日は体が痛まない。医療は昔、医師だけの仕事ではなかった。むしろ宗教家の働きの一部であった。それをいやしと言った。この数年、私は、驚くほど、いやしいやされる体験をしている。
by maranatha
| 2022-05-03 15:49
| 自然