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村上 密 Blog

『「霊的戦い」に疲れていませんか』


 宗教トラブル相談センターに最も多く寄せられるのは「霊的戦い」に振り回され、精神的に疲れ果てた人からの相談です。これらの人が属する団体では病気、悩み、困難などの個人や団体にとって不都合なことはみなサタンや悪霊のせいで絶えず悪霊追い出しや「断ち切りの祈り」に明け暮れています。これでは神経衰弱や情緒不安定、うつ病になってしまいます。ところがうつ病になると一層悪霊のせいにされ、悪霊追い出しをされ疲れるという悪循環です。激しく戦闘が繰り広げられる地域の住民が、恐怖から精神的な病にかかるのに良く似ています。「霊的戦い」を実践している人にとって悪霊との戦いは終末まで終わりません。いや、終末に向かって一層激化していくのです。休息のない戦いといつも油断しないようにとの緊張の連続は、何かをきっかけに「ぷっつん」と切れるおそれがあります。「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」(マタイ11:28)と言うイエス・キリストの声は、戦争心理状態に陥った人には聞こえません。権威主義的な「将軍様」のような指導者の顔をうかがい、信仰が薄い、もっと祈れの督励が聞こえるのみです。キリストは「あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたは世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ16:33)と宣言しておられます。今や復活された主が内住しておられるのに、なぜ「霊的戦い」をしている人に平安がないのでしょう。それは信仰がイデオロギーにかわっているからです。その人の信仰の世界では悪魔がしばしば勝利を治め、その人の生活と心を脅かしています。一層の献身と什一献金の徹底と絶えざる祈りと群れの指導者への絶対服従によってしか戦いに勝つ道はないとい精神的依存体質が作り上げられています。このような精神構造は「権威主義的宗教集団」によく見られる現象です。そう、カルトの心理状態になっています。全能の神への信仰が揺らぎ、神と悪魔、善と悪の闘争史観に陥っています。ここからさらに一歩踏み越えると勝利のためには神との融合が必要であると主張して宗教儀式を行う神秘主義的オカルト集団に嵌ることになります。薬物による似非神秘体験はオウム真理教にありました・「霊的戦い」を実践している人は、しばしばその人の所属している団体から離れると悪魔にやられると恐怖を植え付けられて、離脱できません。恐怖のコントロールから抜け出るためには正しい情報が必要です。しかし、他の情報は誤っているとの情報のコントロール下にあるので、他の本や情報に触れることができません。そして体と心のバランスを崩してやむなく団体へ行けなくなって私のところに助けを求めてくるという図式ができ上がっています。それでも、カウンセリングを通して回復する人が起こされていることは幸いです。
by maranatha | 2007-04-10 14:53
宗教問題