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村上 密 Blog

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『宗教団体に潜む危険性』

 北尾トロの『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』がよく売れている。これは傑作裁判傍聴記である。私も今日まで20件を超える傍聴経験がある。北尾トロと違うのは初公判から判決まで出席するのが私の方針である。

 さて、「人格なき社団」とみなされない団体に潜む危険性をある裁判を参考に指摘したい。ある宗教団体の指導者が裁判に訴えられた。指導者は団体が訴えられていると言って、会員に献金を呼びかけた。裁判では当初「法人格なき社団」であると自分たちの団体を主張したが途中から「権利能力なき社団ではなく」と言い替え、「法人格なき社団」との主張を取り下げてしまった。この団体は宗教団体であるが個人事業所ということになる。裁判のために集めた献金は個人の事業所得で、課税の対象となる。長年に渡って献げられた多額の献金も個人の事業所得!「権利能力なき社団ではなく」という主張は、これから大きな津波となってその団体を襲うはずである。税務署は今までこの団体を宗教法人とみなしてきたが、裁判での主張に基づけば、「みなし法人」の要件さえ満たしていない。今後の裁判と税務署の対応が注目される。
 
 さて、もう一つの裁判の傍聴であるが、この件はもうすぐ判決が下る。すでに被告弁護人が、貸金の返金にほぼ応じていることから、こちらの勝訴は確実である。この裁判を始める前に、ある地方の団体から裁判をやめてくれないかとの要望があった。被害者感情を無視した要望なので私は拒否した。私の方針は和解が最優先である。しかし、これを拒む場合は被害者側に立って、裁判の支援とカウンセリングを継続させることである。この件の団体も「人格なき社団」とみなされない団体である。
 
 今年になって2つの裁判に勝訴した。聖神中央教会の民事事件では佐賀千恵美弁護士にご尽力いただいた。又、聖神中央教会に属する横浜教会の民事事件では、紀藤正樹弁護士を紹介した。事件の内容は紀藤弁護士のブログを参照されたい。いずれもカルト化した教会の事件である。5月にはある裁判の初公判に出席する。


参考資料1「宗教法人・こんときどうするQ&A110」
(2006.12.10佐藤丈史 いのちのことば社)
「人格なき社団の教会」となる要件
①「規則」があって、規則の中に次の事項が記載されていることです。
・名称
・事務所の所在地
・団体の目的
・代表の選任規定と代表権について
・団体の意思決定機関としての役員会・総会について
・会員の定め
・資産の適正な運営について
②「規則」に基づいて組織的に活動していること
「規則」を備えていない教会は、速やかに規則を作成すべきです。
教会は、その規則によって運営されなければなりません。

参考資料2「模範六法」(1998三省堂)
権利能力のない社団といいうるためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理、その他団体としての主要な点が確定していることを要す」(最判昭39.15 民集18-8-1671)
by maranatha | 2007-04-26 12:51

『マインドコントロールの予防』


 マインドコントロールを予防する方法を教えてくださいという読者の要望にいくつかの著書を紹介しつつ回答したいと思います。

 ロバート・B・チャルディーニ(『影響力の武器』誠信書房)は承諾誘導テクニックを、返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性と六つの原理に分類しています。人がどんなことに影響されやすいかを知ることは、説得や誘導の対策になります。マインド・コントロールが説得や誘導と異なるのは、人格が破壊され、強力な教え込みの過程を通してカルト人格が形成されることです。スディーブン・ハッサン(『マインドコントロールの恐怖』恒友出版)は、マインドコントロールには行動、思想、感情、情報の四つのコントロールがあると言っています。さらに追加するなら、思想と矛盾の問題点、敵意の除去、反社会性の指摘、生理的充足が挙げられます。アメリカの心理学者ジュリアス。シーガルはマインドコントロールの予防に五つのCを挙げています。Communication(コミュニケーション)、Control(コントロール)、Conviction(信念)、Conscience(善悪の判断)、Concern(思いやり)以上取り上げた著書にもう一冊『現代のエスプリ「マインド・コントロール」と心理学』至文堂)を追加しておきます。これはとても良い本です。いずれも購入して熟読すれば、マインドコントロールの予防接種になります。
by maranatha | 2007-04-10 14:55

『「霊的戦い」に疲れていませんか』


 宗教トラブル相談センターに最も多く寄せられるのは「霊的戦い」に振り回され、精神的に疲れ果てた人からの相談です。これらの人が属する団体では病気、悩み、困難などの個人や団体にとって不都合なことはみなサタンや悪霊のせいで絶えず悪霊追い出しや「断ち切りの祈り」に明け暮れています。これでは神経衰弱や情緒不安定、うつ病になってしまいます。ところがうつ病になると一層悪霊のせいにされ、悪霊追い出しをされ疲れるという悪循環です。激しく戦闘が繰り広げられる地域の住民が、恐怖から精神的な病にかかるのに良く似ています。「霊的戦い」を実践している人にとって悪霊との戦いは終末まで終わりません。いや、終末に向かって一層激化していくのです。休息のない戦いといつも油断しないようにとの緊張の連続は、何かをきっかけに「ぷっつん」と切れるおそれがあります。「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」(マタイ11:28)と言うイエス・キリストの声は、戦争心理状態に陥った人には聞こえません。権威主義的な「将軍様」のような指導者の顔をうかがい、信仰が薄い、もっと祈れの督励が聞こえるのみです。キリストは「あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたは世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ16:33)と宣言しておられます。今や復活された主が内住しておられるのに、なぜ「霊的戦い」をしている人に平安がないのでしょう。それは信仰がイデオロギーにかわっているからです。その人の信仰の世界では悪魔がしばしば勝利を治め、その人の生活と心を脅かしています。一層の献身と什一献金の徹底と絶えざる祈りと群れの指導者への絶対服従によってしか戦いに勝つ道はないとい精神的依存体質が作り上げられています。このような精神構造は「権威主義的宗教集団」によく見られる現象です。そう、カルトの心理状態になっています。全能の神への信仰が揺らぎ、神と悪魔、善と悪の闘争史観に陥っています。ここからさらに一歩踏み越えると勝利のためには神との融合が必要であると主張して宗教儀式を行う神秘主義的オカルト集団に嵌ることになります。薬物による似非神秘体験はオウム真理教にありました・「霊的戦い」を実践している人は、しばしばその人の所属している団体から離れると悪魔にやられると恐怖を植え付けられて、離脱できません。恐怖のコントロールから抜け出るためには正しい情報が必要です。しかし、他の情報は誤っているとの情報のコントロール下にあるので、他の本や情報に触れることができません。そして体と心のバランスを崩してやむなく団体へ行けなくなって私のところに助けを求めてくるという図式ができ上がっています。それでも、カウンセリングを通して回復する人が起こされていることは幸いです。
by maranatha | 2007-04-10 14:53
宗教問題