アオバト、私にとっては懐かしハトである。小さいころ、山の池でよく遊んだ。そのすぐ近くに椎の大木があって、アオバトがその木によくとまって鳴いているのを聞いたからだ。もう、そこにはもうアオバトはいない。大木だけが残っている。見上げると、アオバトの鳴き声が耳ならぬ耳に聞こえてくる。
山の池に冬が訪れた。水面が氷で覆われている。落ちている椎の実を広い集めて、氷の上に投げつける。椎の実がビュンビュンと音を当てながら飛び跳ねていく。
山の池の上に、小さな家があった。その近くに泉があって、私の幼いころ、母の実家は竹の筧でその泉から家まで清水を引いていた。水が大きな甕に流れ込み、あふれた水がもう一つの甕に流れ込む。その甕からあふれた水が木の桶に流れ込む。夏はその木の桶にスイカやキュウリ、ナスなどを入れて冷やす。キュウリやナスを塩でもんで口にほうばる。うまい。数年前に、池の近くの家が、戦中に沖縄から疎開されてこられた方がそのまま住み着いた家であることが分かった。母に聞いたら、母の妹と仲良しの子の家だった。何人かの家族がすぐ近くのお寺に集団で過ごしておられた。母の家の畑を手伝ったり、もらい湯をされておられたことも聞いた。沖縄とのかかわりが母の幼い時からあったことを聞いて胸が熱くなった。